復職がきまり(また別にエントリ書くね),夏休みを終える子供のように慌ててやりたいことを済ませている.先日の展覧会二続き,大好きなイラストレーター・グラフィックデザイナーの宇野亜喜良氏を取り上げた展覧会に行ってきた.

出会い

宇野さんはイラストレーター以外にも舞台美術や芸術監督なども務めている.そのうちの一つに寺山修司のポスター・本の表紙がある.

私の実母は寺山修司のファンであり,若い頃に寺山修司の映画を観るために田舎から新宿のアングラ劇場まで足を運ぶほどのファンだったそうだ.そんな母の寺山修司バイブルの1つに「ひとりぼっちのあなたに」という本があった.中学生の私は宇野亜喜良氏の手掛けるその表紙の繊細な線,色使いに虜になってしまった.とりわけ寺山修司にはそこまでハマることはなかったが,その表紙を描く宇野亜喜良氏のファンになっていった.AQUIRAX UNO POSTERS 1959‐1975―宇野亜喜良60年代ポスター集を初めて本屋でみた時は,美術や芸術に関わる仕事に興味を持った.ちょうど就職先になやんでいた頃だったと思う.

やなせたかし氏との共著「霧野仙子」は出版記念で銀座のギャラリーでサイン本が買え,就活で上京した際に迷子になりながら買ったのを今でも覚えている.

就職とともに上京してからはサイン会に足を運んだり,宇野さんが舞台芸術を行うProjectNyxの舞台を見に行ったりと気軽に作品に触れられるのが嬉しかった.

展覧会について

 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(東京・銀座)にて今年1月末まで行われていた「宇野亞喜良 万華鏡」展では、俳句と少女をテーマにした原画を題材に、雑誌『デザインのひきだし』(グラフィック社)編集長の津田淳子氏が22作品の特殊印刷設計に挑み、多数の異なる表現方法が試みられました。オフセット印刷のみならず、箔押し、段ボール紙や新聞紙へのシルクスクリーン印刷、手漉き透かし和紙など、日本各地で行われたさまざまな実験は、オリジナル作品との化学反応を起こし、新たな宇野作品を生み出しました。

 本展では、特殊印刷設計から生み出された作品の制作過程にフォーカスし、技法の解説とともに、津田氏の修正指示が書かれた色校正紙や印刷の版なども展示します。完成に向けてどのように試行錯誤を重ねたか、その舞台裏を「印刷花絮(かじょ)(こぼれ話、裏話)」と題し、前期・後期に分けてご紹介します。

https://ichigaya-letterpress.jp/gallery/000303.html

会場は,「宇野亜喜良 万華鏡 」展の協力である DNP大日本印刷株式会社が運営している「市谷の杜 本と活字館」だ.つまり,特殊印刷のプロによる特殊印刷という切り口で飾られた展示だ.DNPによる技術展示が趣旨なのか,入館料・入場料無料.むしろお金を払わせて欲しい.

 

実は「宇野亜喜良 万華鏡」展は拝見してなかったので全て初見の作品だった.私は印刷技術には疎いがそれでも特殊印刷の説明も楽しく観ることができた.

初稿や校了,箔版など普段見られないような作品・展覧会の裏側を存分に見られて印刷技術が好きな人なら興奮できるだろう.御本人直筆のメッセージが見られるのもファンにはたまらない.宇野さんの「すばらしいです!」がいっぱい書かれていて,微笑んでいる姿を想像した.

 

おまけ

カフェのコラボメニュー

展覧会期間中特別メニューがある.個人的には CYMK フロートが一番気になるけどやっぱ猫ちゃんいたら猫ちゃんにしないとね.カプチーノにした.今回はグッズや図録はないので(ポスターだけある)お金を落とさせてください…という気持ちでドリンクにバウムクーヘンを注文した.中庭やちょっとした休憩所でいただくことができる.

 

 

グッズ・紙もの

商用グッズが殆どなかった.というのも,もともとのネタが展覧会であることを考えると納得だ.今更ながら「宇野亜喜良 万華鏡」展の図録が欲しくなった.そんなわけで唯一売っていたB2サイズのポスターを購入した.お金を落とさせてください…

配られているフライヤーも館内のリソグラフ印刷機で印刷されている.手が混んでいる.館内の案内マップも同じリソグラフ印刷機で印刷されているようで,伺ったときは乾燥中注意の札が置かれていた.

また,作品の解説もフルカラーでしっかりしたものが配られていた.本当に無料でいいのか?

ワークショップ

テキンと呼ばれる手法で活版印刷を体験できる.栞に使っているのは実際のポスター作成の際に印刷された色校正,刷り出しといった紙を使用されていてとても豪勢だ.

急いでエントリを書いたのは,この展示が明後日で終了してしまうからだ.私も一昨日気づいたので急いで行ってきた.お時間がある人はぜひ行ってみて欲しい.